2018.11.06UP     いまだ大きい男女の所得格差
もしもの離婚に備えて、女性は私的年金の確保を!

職場においては男女平等が原則とされている日本ですが、実際には男女間に収入格差は存在します。夫婦に収入格差があれば、将来の年金受給額にも格差が生じます。そこで心配になるのは、「もし将来、夫と離婚したら」ということ。離婚したときの年金はどうなるのでしょうか。そして将来に備えて、今からできることはあるのでしょうか。男女の収入格差と年金の問題について考えてみます。

日本は世界有数の男女格差が大きい国

世界経済フォーラムが2017年11月に発表した「ジェンダー・ギャップ指数2017」によれば、経済、教育、政治、保健の4分野のデータから作られる、男女格差を示す「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は144カ国中の114位となりました。 これは収入面だけを示すものではありませんが、日本はまだまだ、男女格差が大きい国ということです。

収入面の格差を示すデータもあります。厚生労働省が出している「男女間の賃金格差解消のためのガイドライン」によれば、一般労働者の男性の平均賃金を100としたときに、一般労働者の女性の賃金は、平成25年の段階で71.3 となっています。 つまり、女性の貰っている給料は、男性の約7割の水準しかないということです。

男女間で賃金格差が生じてしまう理由はさまざまです。女性の勤続年数が出産や育児の影響で男性の勤続年数よりも短くなってしまうことや、女性管理職がまだまだ少ない ことなどです。

出産や育児を経て働き続けたいと考えても、さまざまな理由でそれができず、一度は退職してしまう女性もいます。一度退職し、育児のために数年のブランクができると、出産以前と同様の仕事・立場・収入で復帰することは難しくなります。その結果、やむを得ずパートタイマーなどの短時間労働者となると、収入は大きくダウンします。こうした事情も男女の賃金格差につながっています。

男女の所得格差が年金格差につながる

夫婦間に収入格差があると気になるのが、将来の年金受給額の格差です。現役時代に会社員であった人は、厚生年金に加入していますが、厚生年金加入者が老後にもらえる年金の額は、現役時代の給料の額によって変わってきます。

平たくいえば、よりたくさんの給料をもらっていた人ほど、老後により多くの年金をもらえるというわけです。そのため、現役時代に貰っていた給料の額が夫と比べて少ない妻は、年金の受給額も少なくなってしまいます。

もちろん夫婦円満で老後を迎えれば、問題はありません。お互いの年金を合算して一つの収入と考えればいいからです。心配なのは、離婚してしまったときです。夫は正社員で長年働き、妻は途中で会社員を辞めて専業主婦として夫を支えてきたというケースでは、当然ながら夫のほうが年金受給額は高くなります。

このような夫婦が離婚してしまったら、妻が老後にもらう年金は少なくなってしまうのかというと、そんなことはありません。「離婚時の年金分割」という制度があるからです。これは、離婚をした夫婦は、婚姻期間中の厚生年金記録に基づいて、受給する年金の額を平等に分割できるという制度です 。

また年金だけでなく、夫婦が婚姻期間中に協力して蓄えた財産についても、離婚時には話し合いによって分けるという制度があります(財産分与) 。離婚によって妻が一方的に、経済的不利益を被ることはないわけです。

もしものときに備えて私的年金を用意しよう

ただ、実際に離婚した場合をリアルに考えてみるとどうでしょうか。その後も人生は長く続いていくわけで、生活を守るためにも収入は必要です。バリバリと働き続けていた女性ならば心配はありませんが、子育てなどを機に一度仕事をストップしていた女性は、満足のいく給料をもらえないかもしれません。

そのような事態に備えて、若いうちからやっておきたいのが資産運用です。それも一獲千金を狙うようなものではなく、毎月一定額の安定収入が得られるような、堅実な運用手段を持っておけば安心です。たとえば、ワンルームマンション投資のような方法がそれに当たります。

たとえ仕事で得る収入が少なくとも、他の手段で収入が確保できていれば、経済的に安定した生活が送れます。資産運用で将来の私的年金を確保することの大切さは、若いうちから意識しておきたいものです。