2021.06.08UP 新型コロナウイルスワクチン接種の遅れは経済にも影響が出る?

新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでいる国では、飲食店の営業やお酒の提供が解禁された、
あるいはマスクを外すことが許可されたケースもあります。
一方、日本ではまだ医療従事者と並行して高齢者接種が始まったばかりです。
ワクチン接種は経済活動の回復に有効なのでしょうか。
今回は、新型コロナウイルスワクチン接種の遅れと経済への影響について解説します。

世界のコロナワクチン接種状況

日本経済新聞社と英フィナンシャル・タイムズの集計によると、
2021年5月3日現在、世界全体で11億回以上の新型コロナウイルスワクチンの接種が行われています。

接種回数は人口の多い中国、アメリカ、インドの順に多くなっていますが、
国民にどの程度ワクチン接種が行き渡っているかは割合で考える必要があります。
また、新型コロナウイルスワクチンは2回接種が基本であるため、接種回数ではなく接種完了人数を見なくてはなりません。

人口100人あたりのワクチン接種を完了した国民はイスラエルが56.28人と最も多く、
次いでアラブ首長国連邦が39.27人、チリ35.53人、アメリカ31.44人となっています。
つまり、多い国では国民の6割弱~3割への接種が終わっているのです。

これに対して日本は人口100人あたり0.79人しか接種が行われていない状況であり、
新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人が国民の1%にも達していないのです。

新型コロナウイルスワクチン接種の遅れは経済や株価にも影響がある?

2021年4月6日に公表された国際通貨基金(IMF)の春季レポート「世界経済見通し」(World Economic Outlook)によると、
新型コロナウイルスで落ち込んでいた2020年に比べ、2021年は出口が見えつつある、とされています。
2021年の世界経済の実質国内総生産(GDP)成長率を、1月時点から0.5%ポイント引き上げ、6.0%としました。

成長率を引き上げる要因の冒頭にワクチン接種状況が挙げられ、
先進7カ国の中で最もワクチンを接種した国民の割合が高いイギリスの2021年5.3%、
2022年5.1%を筆頭に、アメリカ、カナダ、フランスなどが続いています。
なお、イギリスのワクチン接種回数は100人あたり約54回、
アメリカは約50回、カナダやフランスは約18回となっています。

一方、日本はワクチン接種が著しく遅れ、先行きも不透明であることが影響し、
ワクチン接種回数は100人あたり1回未満です。
GDP成長率の見通しも2021年3.3%、2022年2.5%、と低く見積もられています。

新型コロナウイルスによる中期的なGDPの損失がとくに大きいのは新興国であり、
中国を除くアジア諸国や中南米諸国、アフリカ諸国が挙げられています。
こうしたGDP成長率や損失の程度は、今後の株価にも大きな影響を与えると推測できるでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスにより1年以上に渡って影響を受け続けている世界経済は、
新型コロナウイルスワクチン接種が始まったことでGDP改善の兆しが見え始めました。
しかし、ワクチンの接種が遅れている日本では見通しはまだ不透明といえるでしょう。
将来の不安を減らすために、まずは不動産投資などの資産運用を検討してみてはいかがでしょうか。