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2018.06.18UP 受け取り方により異なる年収1,000万円からの税金対策

昭和60年3月7日の毎日新聞夕刊において、「最高裁『必要経費』認める」という記事がトップを飾りました。これは、サラリーマンでも実際にかかった経費を認めるべきだという訴訟に対して、最高裁がNOという答えを出した日です。

同紙の見出しの言葉を借りると「実額控除は困難」であり、「給与所得控除は合憲」であるという判決でした。現在でも、給与所得者では給与所得控除が必要経費の代わりになっているため、実額の経費を差し引いて確定申告することは基本的にはできません。

同じ年収1,000万円といっても、給与所得者か個人事業主かといった立場の違いによって税金対策も異なります。次からは、それぞれの所得でどのように課税されるのかを確認していきましょう。

給与所得が年収1,000万円を超えたときの影響

冒頭でも触れたように、給与所得を算定する際には給与収入から給与所得控除を差し引きます。給与所得控除は給与所得者にとっての必要経費のようなもので、給与収入が高くなるほど給与所得控除も高くなるように定められています。

ただし、年収1,000万円を超えると給与所得控除が上限の220万円で一定となります。つまり、年収がちょうど1,000万円だと給与所得は780万円、年収1,250万円だと給与所得は1,030万円と、年収が増えた分がそのまま給与所得の増加になります。

年収の増加に伴って給与所得控除も増え続ければ、給与所得の増加は緩やかになりますが、給与所得控除に上限が設けられていることで、年収1,000万円以上の人は収入の増加がダイレクトに給与所得の増加につながってしまうのです。

なお、平成30年度税制改正により2020年度分の所得から年収850万円を超えると給与所得控除が上限の195万円に達するので、この傾向はより強くなります。

給与所得からは社会保険料控除、生命保険料控除、基礎控除、配偶者控除など各種の所得控除が差し引かれて、所得税が課税される元となる所得金額が算定されます。例えば、所得金額が330万円を超えて695万円以下の場合、所得税は「所得×20%-427,500円」というように算定されます。年収1,000万円の人の所得金額が仮に600万円であった場合、所得税は772,500円(=600万円×20%-427,500円)となります。

雇用契約と業務委託契約の違い

会社と雇用契約を結んで給与の支払いを受けるのと、業務委託契約を結んで委託報酬を受け取るのとでは、会社から仕事をもらって働くという点では同じですが、所得税の取り扱いは大きく異なります。

雇用契約の場合は前述したように給与所得が発生し、通常は職場で年末調整をしてもらうため確定申告の必要はありません。これに対して、業務委託契約の場合は基本的には事業所得が発生し、自分で確定申告をすることにより所得税を納付します。

事業所得は収入から経費を差し引いて算出されるため、経費を多くすれば所得が少なくなります。給与所得控除が自分ではコントロールできないのに対して、経費はある程度、自分でコントロールできる点が異なります。

例えば得意先を飲食に誘って、次の取引機会につなげるとともに、飲食代を交際費として経費に計上することは節税方法の一つといってもいいでしょう。また、所得が多く出そうな年には将来必要になる備品などを早めに取得して、少額減価償却資産の制度で全額経費にすることも可能です。

さらに、個人事業主として小規模企業共済に加入することで、将来の退職金を準備しながら掛金の全額を所得から控除することも節税対策として有効です。

法人成りで税金対策

給与所得と事業所得はともに所得税の対象ですが、法人を設立すれば法人税の対象となります。所得税の税率は所得に応じて高くなる超過累進税率ですが、法人税の税率は原則として一定の税率です。

つまり、所得が多くなってきた場合には個人事業主であり続けるよりも、法人を設立した方が税金面で有利になることが多いといえます。ただし、各人の条件により状況が異なるため、年収がいくら以上になったら「法人成り」のほうが有利であると一概にいうことはできません。

前述のように年収1,000万円で所得が600万円の場合の所得税は772,500円となりましたが、法人の所得が600万円の場合の法人税は900,000円(=600万円×中小法人の軽減税率15%)になります。

ただし、個人事業の場合は所得税以外に住民税や個人事業税がかかるとともに、社会保険料の金額も所得に応じて変わってきます。また、法人の場合は法人税以外に法人住民税や法人事業税がかかるとともに、自分に役員報酬や配当というかたちで資金を還元するためには別途所得税などがかかります。

そのため、それらを総合して法人成りをするほうが有利かどうかを判断する必要があるでしょう。判断するためには、税理士など専門家の意見も参考にしながら検討してみるのが現実的です。

このような法人成りの判断は、事業所得の場合だけでなく不動産所得の場合にもあてはまります。例えば投資用ワンルームマンションを複数所有している場合には、法人成りを検討してみるのも良いでしょう。