2024.02.08UP 投資用物件の利回りとは?種類や計算方法、おすすめ地域なども解説!

この記事では、不動産投資において重要な指標である利回りについて紹介します。
利回りは複雑そうに思われがちですが、計算方法や用途がわかれば難しくありません。
投資用物件に詳しくない方向けの内容なので、これから不動産投資をはじめたい方や将来の不労所得を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

投資用物件の利回りとは?

不動産投資における利回りは、物件を選ぶときの重要な判断材料です。
不動産投資では、建物や土地などを購入してその運用によって収益を得ますが、収支が合わなければいつまでたっても購入費用を回収できません。
利回りとは、物件購入でどれくらいの収益が見込めるかを示す指標で、購入価格に対する年間収入の割合です。
ただし、利回りにも大きく分けて3種類あり、同じ物件でもそれぞれ値が変わります。
掲載されている利回りがどの種類なのかわからないと大きく損をしてしまうので、まずは違いを理解しておきましょう。

表面利回り

表面利回り(グロス利回り)は、物件価格に対してどのくらいの年間収入が得られるかを表す収益の割合です。
表面利回り(%)=現状の年間家賃収入÷物件価格(税込)×100
現状の年間収入から算出されるため、その年の入居状況によって変動します。
ただし、修繕費や広告費などのランニングコストは考慮されておらず、実際の収入を表してはいません。
費用が含まれない分だけ収益が大きく見えるため、単に利回りと書かれている場合は表面利回りを示している可能性があります。

想定利回り

想定利回りは、表面利回りと違って常に満室の状態を想定した収益の割合を表します。
想定利回り(%)=満室時の年間収入÷物件価格(税込)×100
表面利回りは空室の有無が加味されているため変動しやすいですが、想定利回りは賃料や戸数の変更がない限りは変わりません。
想定される最大の収益を表すため、必然的に表面利回りよりも高くなります。
満室を前提としていることから、高い入居率が期待できる新築物件の販売などで使われる指標です。

実質利回り

実質利回り(NOI利回り)は物件購入時や運用時にかかる費用を考慮した収益の割合を表します。
実質利回り(%)=(現状の年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格(税込)+購入時の諸経費)×100
物件の取得と運用にかかる費用を年間収入から差し引いているため、現実に即した実質的な収益がわかります。
ただし、かかる費用は状況によって左右されるため、一律ではありません。
借入金の返済、リフォーム費用など変動する要因に応じて算出する必要があります。

投資用物件の種類

投資用物件は、種類によって購入価格や利回りが変わります。
用意できる資金や、自分が目指す利回りによって選ぶべき投資用物件も変わりますので、投資用物件の種類や特徴を知っておきましょう。
ここでは3種類の投資用物件をご紹介します。自分が行いたい投資用物件の種類を見つけてみてください。

1棟アパートやマンション

一つ目は、アパートやマンションの1棟所有です。
1棟を購入するため1戸(1室)と比べて購入費、運用費は高くなり、金融機関からの融資が必要になるでしょう。
少なくとも購入に数千万円は必要で、元を取るための中長期的な運用を見据える必要があります。
建物全体の維持や入居率の確保などリスクはありますが、利回り改善に向けて自由に対応できるため、自分で状況をコントロールしやすい点がメリットです。
また、新築物件は空室になるリスクは低く、中古物件は購入価格が安いため利回りが高くなるという特徴があります。
なお、1棟アパートやマンションの利回り相場は7%程度といわれています。

区分マンション

二つ目は、マンションの1室を購入する区分所有です。
区分所有は1棟に比べて購入価格が安くなり、管理の手間や維持費も少なくなります。
立地や築年数によってはさらに購入価格をおさえられ、融資を必要とせず自己資金のみでの購入が可能です。
また、いざというときには物件を売却したり自分で使用したりすることで、損失を抑えられます。
利回りは新築、中古でも変わりますが、1棟所有と同様に中古のほうが高くなる傾向です。
なお、区分マンションの利回り相場は6%程度といわれています。

コインパーキング

三つ目は、駐車、駐輪などのコインパーキングです。
購入するのは土地とコインパーキングに必要な設備で、建物は必要ありません。
建物がないため、売却時に更地に戻しやすいというメリットがありますが、税制面での優遇がないため実質利回りが下がるデメリットもあります。
コインパーキングは駐車スペースの少ない都心部での需要が高く、利回りを維持するためのエリア選びや近隣の競合調査が重要です。
地域によっては、時間貸しや定期契約(月極)などの需要も変わってきます。

投資用物件の利回り計算方法とは?

利回りの解説部分で計算式を紹介しましたが、実際の数値に当てはめて見てみましょう。
下記の物件があったときの各利回りを計算してみます。

物件購入価格3,000万円、月の家賃収入20万円(賃料5万円、全10戸、入居率40%)
年間諸経費200万円、購入諸費用200万円

表面利回り:20万円×12ヵ月÷3,000万円×100=8%
想定利回り:50万円×12ヵ月÷3,000万円×100=20%
実質利回り:(20万円×12ヵ月-200万円)÷(3,000万円+200万円)×100=1.25%

計算結果から、各数値が大きく異なることがわかるかと思います。
収益を算出したい場合は、より現実的な値である実質利回りを求めるようにしましょう。
ただし、収入や必要な費用の根拠も正しくないと返済計画もずれてしまいますので注意が必要です。

投資用物件のおすすめ地域はどこ?

投資用物件の利回りは地域によって特徴がでます。
都心部は物件価格が高いため利回りは低くなる傾向にありますが、需要の多さから安定的な入居率と家賃収入が得られる点が魅力です。
一方、地方は物件価格が低いため利回りは高くなる傾向にありますが、空室になるリスクが高いため対策が必要です。
それでは、都心と地方の特徴を見ていきましょう。

入居率が高い都心部

都心部は人口が多く賃貸の需要が高いため、投資用物件として人気が高いです。
物件価格が高いため利回りは低くなりますが、空室のリスクを下げられるメリットがあります。
首都圏でいえば、横浜、吉祥寺、大宮、恵比寿、新宿などは人気のエリアで、賃貸の需要が高いといえるでしょう。
吉祥寺は東京都心から少し離れますが、商業施設の充実や賃料相場が比較的安価なことから人気が高いエリアであり、再開発事業も進められています。
人口は安定しているため、今後に期待できるエリアです。

利回りが高い地方の築古物件

利回りが高くなる傾向にある地方の物件も狙い目の物件です。
地方では都心よりも空室になるリスクが高く、投資用物件として人気が下がるため物件は安価です。
特に地方のなかでも、札幌、仙台、神戸、福岡などの主要都市では、東京よりも賃貸住宅1棟の利回りが高い傾向にあります。
都心部は競合が多く有益な物件はすぐにおさえられてしまいますが、地方は人気が低めで競合は少なめです。
現地調査や賃貸の需要を分析して、空室や築古のリスクに対処できるなら、さらに高い利回りを目指すこともできます。

利回り30パーセントの好物件もある!?メリットやデメリット

高利回りをうたった物件は計算上は多くの収益が見込めますが、何らかのリスクをかかえている可能性が高いです。
しかし、そのリスクを解消または軽減できれば高利回りのメリットを享受できます。
また、利回りは集客やリフォームなど改善によって高めることができ、需要に合わせた創意工夫により利回り30%を目指すことも可能です。
高利回りで売られている物件には、メリットとデメリットがあるので紹介していきます。

高利回り物件のメリット

高利回りの物件は、すでに収益性が高く、少ない年数で資金を回収できます。
早期に資金の回収が見込めれば、入居率を安定させるための施策に先行投資することもでき、好循環を生みやすいでしょう。
また、高利回りの物件は売りやすくするために購入価格を下げているケースがあり、特に地方で築年数が大きい物件に多く見られます。
地方の需要や入居者の属性に合わせた運用ができれば、安定した入居率を維持することも可能です。

高利回り物件のデメリット

高利回りはメリットが大きく見えますが、物件がかかえるリスクも見ておく必要があります。
人気が低いため物件価格を下げている可能性があり、そこには需要が低い理由が考えられます。
例えば、商業施設や交通機関へのアクセスが悪かったり、築年数が古くて居住性が悪かったりすると入居者がつきにくいです。
また、事故物件のような見えにくいリスクも潜んでいます。
物件購入後に想定外の瑕疵が見つかることがないように入念な調査が必要です。

まとめ

この記事では、投資用物件の利回りについて紹介してきました。
また、都心と地方による利回りの違いや高利回りの特徴についても紹介しています。
収益を考える場合は実質利回りを算出し、費用を考慮した現実的な金額におとすことが重要です。
高利回りというだけで価値を判断せず、なぜ高いのかを理解できれば数字に惑わされなくなります。