2024.02.05UP マンション投資の利回りとは?相場や理想の利回り、計算方法など紹介!

マンション投資における利回りは物件の投資価値の判断に重要な指標ですが、一概に高ければよいわけではありません。
マンション投資に興味を持ちはじめた方は、最初にこんな疑問が浮かぶかと思います。
「マンション投資の利回りは高いほどお得なのか」
「どれくらいの利回りがあれば理想なのか」
「物件サイトを見ても妥当な利回りなのかわからない」
利回りが高ければそれだけ投資した金額を早く回収できると思う方も多いと思います。
しかし、利回りが高くても周辺地域の人口や老朽化した設備などの事情により賃貸収入の不安があり、物件価格を安くしている場合もあります。
物件の利回りが妥当かどうかは、利回りの計算方法や水準がわかれば理解できるようになるでしょう。
この記事ではマンション投資をこれから考えている方に向けて、マンション投資の相場や理想の利回りを紹介しています。
利回りの基準を学んでマンション投資を始める一歩に役立ててください。

マンション投資の利回りとは?

マンション投資の利回りは物件を選ぶうえで重要な判断材料です。
マンション投資では物件を購入してその家賃収入を得られますが、高額な物件価格の元を取る(回収)まで長期間かかります。
利回りは購入に支払った金額をどのくらいで回収できるかを表し、高くなるほど短い期間で回収可能です。
利回りには大きく3種類あり、それぞれ用途も計算の仕方も違うので注意しましょう。

表面利回り

表面利回りは物件価格に対する家賃収入の割合であり、投資物件としてのコストパフォーマンスの判断に役立ちます。
家賃収入は現状の入室状況から計算し、現実に近い家賃を設定します。
表面利回りの計算は下記のとおりです。
 表面利回り(%)=現状の年間家賃収入÷物件価格(税込)×100
表面利回りの計算には支出分は含まれないため、実際に運用を始めるときの利回りは小さくなります。
不動産会社や物件サイトなどが掲載している利回りは、この表面利回りであることが多いです。
家賃収入に対して物件価格が妥当であるかを判断する材料として見るようにしましょう。

想定利回り

想定利回りは表面利回りと同様に物件価格と家賃収入のバランスを見るための指標ですが、家賃収入の考え方が違います。
想定利回りでは満室時を想定した家賃収入を使用します。
 想定利回り(%)=満室時の年間家賃収入÷物件価格(税込)×100
入居募集前の新築マンションは現状の収入がないため常に満室とみなして算出されることが多いです。
簡単に計算できて常に一定の値になるため、新築マンションのような事情がなくても使われています。
表面利回りと同様に、物件価格の妥当性を判断する一つの材料として見るようにしましょう。

実質利回り

実質利回りは、より現実に近い利回りをみるために使われます。
算出時は物件購入にかかる初期費用や月々の管理費などの投資金額を収入から減算して計算します。
 実質利回り(%)=(現状の年間家賃収入ー年間諸経費)÷(物件価格(税込)+購入時諸経費)
費用の算出が大変ですが、表面利回りや想定利回りよりも実際の収益を反映しており、投資金額の回収期間の判断に利用できます。
実際に手元に残る金額が知りたい場合は実質利回りを計算するようにしましょう。

マンション投資の利回りの理想はどのくらい?

マンション投資をはじめる方にとって、どれくらいマンション経営を続ければ収益がプラスになるのかは気になるポイントでしょう。
例えば、投資金額を回収するには実質利回りが5%のとき20年、10%のとき10年かかる計算になります。
回収期間が短いほど収益がプラスになるため高い利回りが理想的ですが、現実には実質利回り10%に到達するのも簡単ではありません。
一般的に、マンション投資で期待される利回りは3~6%といわれています。利回りが理想の半分ほどになってしまうため、回収には時間がかかります。
利回りが高いほど早く投資金額を回収できますが、現実的には5%前後が妥当で回収に20年はかかると想定しておいたほうがよさそうです。

マンション投資の利回り相場はどのくらい?首都圏と地方でも比較

マンション投資の利回りは地域、築年数、所有形態によって大きな差があります。
全国的には、利回りの相場は7%前後といわれていますが、地域によってその差は大きいです。
また、利回りには次のような特徴が見られます。
・築浅の利回り<築古の利回り
・区分マンションの利回り<一棟マンションの利回り
特に、築年数の違いは利回りに大きく影響し、築20年あたりを境に利回りが大きくなるようです。
次に、地域ごとの利回り相場を見ていきましょう。

首都圏のマンション投資の利回り相場

首都圏のマンション投資の利回り相場は全国平均の7%よりも低めです。
区分、一棟を含めたマンションの利回り相場は6~7%で、全国の相場と同様に築浅、一棟所有のほうが利回りが高くなるといわれています。
また、都心部に近いほど利回りが低い傾向にあります。
東京都内でも23区と市部で大きな差があり、これは東京都内の物件価格の差が影響しているでしょう。
首都圏の利回り相場は全国的には低めですが、東京市部や東京以外の県は高くなる傾向です。

地方のマンション投資の利回り相場

地方のマンション投資の利回り相場は軒並み高めです。
利回り相場は人口の少ない地域ほど高くなる傾向にあり、区分マンションで7~15%、一棟マンションで8~12%といわれています。
また地域に関わらず、築年数が上がるほど利回りは高くなります。地方のマンションの利回りは高いため、築年数が長い物件が多いといえるでしょう。
さらに、物件価格の安さも利回りの高さに影響しているといえます。
地方の物件は築年数が長く価格が安いので、全体的に利回りが高めな傾向です。

マンション投資の利回り計算シミュレーション

最後に、マンション投資のイメージをつかみやすいように利回りのシミュレーションをしてみます。
東京市部の区分マンション(利回り相場8.17%、物件価格相場1,390万円)を想定して下記の金額を用いて計算。
・物件購入価格1,400万円
・年間の家賃収入110万円(賃料10万円、区分マンション1戸、11ヵ月入居)
・購入時諸経費200万円
・年間諸費用24万円(月間2万円×12ヵ月)
簡単に計算するため借入金の金利や税金などは含めません。
次節以降で紹介する計算を使えば希望している物件でも流用できますので試してみてください。

表面利回りの計算方法

表面利回りの計算式を再掲します。
 表面利回り(%)=現状の年間家賃収入÷物件価格(税込)×100
関係のある金額は次の二つ。
・物件購入価格1,400万円
・年間の家賃収入110万円(賃料10万円、区分マンション1戸、11ヵ月入居)
あとは計算式に数値を当てはめれば算出が可能。
表面利回り:110万÷1,400万円×100=7.85%
なお、同じ条件で想定利回りを計算すると8.57%になります。
家賃1ヵ月分の差だけでも金額が大きいほど利回りへの影響も大きくなるため、利回りの違いには注意しましょう。
今回は東京市部の相場8.17%に近い値でしたが、実際の表面利回りが相場と比べて低すぎないかを見るようにしましょう。

実質利回りの計算方法

実質利回りの計算式は費用が含まれている特徴があります。
 実質利回り(%)=(現状の年間家賃収入ー年間諸経費)÷(物件価格(税込)+購入時諸経費)
関係のある金額は次の四つ。
■支出
・物件購入価格1,400万円
・購入時諸経費200万円
・年間諸費用24万円(月間2万円×12ヵ月)
■収入
・年間の家賃収入110万円(賃料10万円、区分マンション1戸、11ヵ月入居)
以上を計算式に当てはめます。
実質利回り:(110万円-24万円)÷(1,400万円+200万円)×100=86万円/1,600万円=5.37%
表面利回り7.85%に比べると2.48%の差があり、まったく違う結果になることが実感できるでしょう。
収益が減ると借入金の返済にも影響するので、かかる費用はきちんと把握しておきましょう。

まとめ

この記事ではマンション投資の理想の利回りや各地域の相場を紹介してきました。
利回り相場の特徴は次の三つ。
・地方は利回りが高くなる
・築年数が長いほど利回りが高くなる
・一棟所有よりも区分所有の利回りのほうがやや高くなる
なお、地方でも中心街に近いと利回りは低くなる傾向です。
表面利回りの相場は全国的に7%前後ですが地域や築年数でみると4~15%となり、どのようなマンションを希望するかによって相場は大きく変動します。
ただし、実際には4~5%が現実的な実質利回りであり、それ以上の数値が出せれば理想的です。
表面利回りや想定利回りは物件の価値判断に利用し、実際の収益が知りたい場合は実質利回りをきちんと計算するようにしましょう。
また、地方の物件や築年数の古い物件は、利回りが高くなりやすいですが、空室リスクも高いので、都心部の築年数の浅い物件の方が、リスクを抑えてマンション投資を行えます。マンション投資を行う際は、ご自身で実際に調べてから行うことをおすすめします。